産経新聞の"夕焼けエッセイ―"という一般読者の投稿欄があります。
今年の入賞者のタイトルは『幻の郵便貯金』。 90歳の池田市の男性でした。
内容は「昭和18年9月(23歳)に召集を受け、入隊後すぐスマトラに出兵した。入隊時小遣いにも要ろうかと直前16円で郵便貯金開設、その後野戦郵便局で軍票で支払われた俸給を入金し、最終記録が昭和20年7月の合計221円。
昭和22年11月に帰還し、生活に追われて落ち着いた頃、通帳を持って郵便局に行くと、10年以上入出金あるいは利子記入のないものは無効とする規則が書いてあるでしょう。記念にとっておかれたらとそっけない返事。
幻の221円の時価を知りたいもの」と結んでおられました。
我が家でも戦前の郵便通帳を持っている篤信が同じ事を度々言っていました。 父博愛は北朝鮮で終戦を迎え、帰路妻(澄子)を亡くし、残り家族6人を連れて1年かけて山口県仙崎に上陸し、福岡田主丸の本家にお世話になった時の事を篤信の"うからやから"に書きましたが憶えおきのかたもおられるかとおもいます。この郵便貯金通帳も思い出を確かにする一つです。子どもひとり一人の名義でつくられていて、最終記帳が昭和19年4月合計参拾六圓五銭。<(昭和19年に亡くなった私の父・庄太郎は給料が大体100円で職人として高給だったと母キクヨがいっていたんですが・・・)
ところが今年8月、政府が引揚者の郵便貯金の払い戻しを決定したという新聞記事をみつけ、早速篤信が自分で利息だけを試算しました。何と現在のわずか7,000円くらいかな。
やはり思い出貯金に通帳をこのまま残しておこうという事になりました。
記:上村 サト子
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