目次へ

原爆記念日に思う


  被爆50周年有感
五十年前戦局危  五十年前戦局危し
炎威八月乱蝉滋  炎威八月乱蝉滋し
白光一閃爆風起  白光一閃爆風起り
雲影須臾黒雨垂  雲影須臾(しゅゆ)黒雨垂る
広島市街為地獄  広島の市街地獄と為り
長崎民衆極傷悲  長崎の民衆傷悲を極む
且行実験法中呆  且(まさに)に実験を行わんとす法(フランス)中呆(おろか)なり
反核高嚆竟訴誰  反核の高嚆(こうこうつい)竟に誰にか訴えん


上の漢詩は10年前に作ったものです。
60周年に当り見直していたところ、『且行実験法中呆』が目に留まりました。
将にこの時、フランスと中国が核実験を行い世界の注目を浴びていた時だったのです。
それから10年、今年の5月に開かれた核不拡散条約再検討会議で明らかになったのは、アメリカ、ロシア、イギリス、フランス、中国、インド、パキスタン、北朝鮮、イスラエルなどの核保有国並びに核保有願望国が、世界の大多数の市民や国の声を無視し、人類を滅亡に導く危機に陥れているという事実です。
 唯一の被爆国日本の国民として、私たちは、広島・長崎の被爆の実相を世界につたえ、核兵器のない21世紀をめざして、核実験禁止・核兵器廃絶を訴える責務があります。被爆経験に基づく非核政策や平和憲法の精神を世界に広げるために、全力を尽くさねばなりません。
 核兵器を廃絶するための人間の英知こそ、かけがえのない地球と人類の未来を保障するものにほかなりません 

 S・N