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明治の宮廷文化を彩るもの


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 2019.5.1から令和元年となりました。
2日は皇居に数万人の人が全国から一般参賀に訪れていました。その日、私はそのつもりなく新幹線の東京駅に降り立っていました。
しかしチケットがあると娘に誘われ、「特別展明治150年記念」−華ひらく皇室文化―展で皇室の一隅を見ることになり、まず第一会場の住友コレクションを展示する泉屋(せんおく)博物館に行きました。
明治時代の宮廷を彩った洋装・食器・織物・ボンボニエールなど日本の技と美的センス・素材が溢れていました。特にボンボニエールは西洋で行われていた、記念事を記憶する為の小物入れでしたが、明治時代に日本に伝えられ、皇室や宮家にのみ取り入れられた慶弔を記念したおもてなしの小箱です。彫金師の技のこもった小箱の中には金平糖が入っていたとか、当時の多分身分高いとされた招待客はさぞかし褒め戴いて、持ち帰った事でしょう。今上天皇ご成婚記念のボンボニエールは銀製で菊の御紋を鳳凰と雲が取り囲むデザインでした。
 第二の会場は学習院大学史料館でした。中学部で例の事件があったばかりなので、さぞかし警備が厳しいかと覚悟していましたが、守衛さんの前を通り過ぎるだけで、拍子抜けでした。展示は第一会場と同じく、皇室、華族の飾り物、写真、衣装、織物などが古色蒼然としながら、伝統の技が輝いていました。この中には古い伝統を持つ皇族、華族と学習院繋がりの貴重な諸品があると思いますし、明治時代に急速に取り入れた新文化の早さを感じるものが多かったです。とにかく、庶民の生活とははるか遠くの世界に思いを馳せるだけでした。二会場とも撮影禁止で内容をお伝え出来ず残念です。
 令和元年の幕明けも二ヶ月足らずで、早や落ち着いてきたように思われます。今後、自然災害が少なく、庶民の生活が安定することを願うのみです。

2019年7月3日    
上村サト子    


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