主人の次の俳句の兼題「泉」を探して、JR東海道線米原よりひと駅先の醒ヶ井に行ってきました。現在は梅花藻や養鱒場で有名ですが、ここは京都より一泊目の中山道の本宿として重要な個所でした。旧街道筋には江戸時代の問屋場(現在資料館)や旧郵便局、村立小学校玄関などが残っていたり、今も醤油や和菓子屋さんなどの老舗があります。特に問屋場とは昔の役所で、大名や役人に馬や人足を提供したり荷物の手配を行い、こんなに完全な形で残っているのは珍しいそうです。
私たちの本来の目的の「泉」は旧街道脇に流れる地蔵川の数か所にあります。ガイドには七湧水巡りとありますがこれらの湧水は鈴鹿山系の北端に位置する霊仙山に降り注いだ雨が長い年月をかけて地下を流れ、その麓から湧き出ている泉です。そのうち居醒(いさめ)の清水、十王水、西行水をまわってきました。その川中には14℃前後の清流しか生息しない梅花藻がそよそよとそよいでいます。7月下旬に白い小さい梅に似た花を川の中に咲かせますがこの時期にはこの花は見られませんでした。でも清らかな川に手を浸し、清水をもとにした醤油や羊羹を土産にして大満足でした。いつまでもこの清流を保って欲しいものです。
余談ですが、高槻にも昔より親しまれた古曽部の「不老水」の湧き水があります。能因法師がお茶をたてるのにこの水を愛したとか、老化を憂いて毎日愛飲したとか。今はトタン板で覆われ、飲料水には不向きと案内があります。住宅に囲まれた様子ではさもありなんと思われる野辺の一隅でした。
2019年5月27日
上村サト子
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