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11月文楽公演を観劇して

 11月25日"11月文楽公演"の最終日、「ひばり山姫捨松」と「女殺油地獄」近松門左衛門作の人形浄瑠璃を観劇しました。
 文楽は、大阪で生まれ大阪の庶民に育まれてきた「人形浄瑠璃文楽」で2003年にはユネスコの「世界無形遺産」にも登録され、世界中からも注目されています。
 「文楽」は、耳で聞く語り物音楽の「浄瑠璃」と視覚に訴える「人形」という歴史的には全く別々に発達してきたものが、十六世紀末に結びついて成立した芸能です。
 文楽の上演は、物語を語る「太夫」と三味線を弾く「三味線弾き」とが浄瑠璃(義太夫節)を演奏します。
太夫が語る浄瑠璃の言葉は、登場人物のセリフだけでなく、その心理や情景までも語り方や声の音色など全てを変え太夫一人で誰が誰に何をどのような気持ちで言っているのか、その場の情景はどうなっているのかが、観客が目をつぶっていても分かるように語られます。
文楽の人形は、三人で一体の人形を操る「三人遣い」の形を取っています。
一人で一体の人形を遣うのは自分の意のままに動かすことができますが、三人で一体の人形を操るので大変です。文楽の人形遣いの修業では、「人形を遣う」という基本的な技術が毎日の舞台を通じて継承されるような実に合理的なシステムが整っているようですが、師匠のもとで技術的な事は勿論、それ以上に役に対する考え方を習うのだそうです。
そしてそこにどれだけ自分の個性を盛り込み、自分らしさを発揮できるかが、生涯のテーマとして修業されるようです。
 実際の舞台に足を運んで観劇すると文楽の素晴らしさを体感できます。
大阪国立文楽劇場 資料展示室の展示 ロービの文楽人形面

2018年12月25日    
記 大岡 成一