東京見物でお友達に
数年前、久しぶりで東京見物にいきました。
一日目は、上野の国立博物館と築地本願寺を見学し、2日目は都内観光のはとバスに乗って浅草の観音様、明治神宮、お台場、東京タワーとめぐり、お昼は都庁の近くの、ビルの51階で中華料理を頂きました。3日目はまた観光バスで、国会議事堂と靖国神社へ行きました。
前に何回か行ったところもありましたが、おのぼりさんよろしく観光し、それなりに新鮮で一人旅も楽しく過ごせました。
そのバスで一つの出会いがありました。
隣に座られた男性は、70歳くらいとお見受けしましたが、第一印象はとても清潔な感じで、優しい方のようでした。
私に話しかけてこられて、昨日はスカイツリーの近くへ泊まったということで、ホテルの窓から見て描いたのだというスカイツリーのスケッチを見せてくださいました。
私は驚きました。
印刷かと思うくらい繊細なスケッチに淡い色彩のスカイツリーが描かれていました「これ、お描きになったのですか」と驚く私に「私はスケッチが趣味で毎年カレンダーを作ってみなさんに送っているのです」と言われました。
「よかったら送りますよ」と言われあつかましく「お願いします」と言ってしまいました。
奥様と親戚の女性のかたと三人のご旅行だそうです。
観光バスでの短い出会いでしたが、名刺を交換して別れました。
そして年末、本当にカレンダーが送られて来ました。奈良県にお住まいで、おうちの近くの山や森、田舎の建物や、道など心温まるタッチで描かれていました。絵心のない私ですが、この優しい風景画はほんとに癒されます。そして次の年も、その次の年も送ってくださっています。
旅行から帰って友達に「東京で男性のお友達が出来たよ」というと私の人見知りを知っている友達は一斉に「えっ」とびっくりしましたが、「ご心配なくその方は奥様とごいっしょでした」と落ちをつけて笑わせていました。
一度家へ遊びに来てくださいと何度も誘ってくださったのでまた、あつかましくお邪魔することにしました。
駅まで車で迎えに来てくださり、久しぶりの再会の挨拶もそこそこに車に乗せてもらい出発します。
車は市街地を抜けてだんだん山の中へ入っていきます。
着いたところは、ほんとに山あいと言っていい静かな集落でした。
立派な門構えのお家で庭に蝋梅が満開の花を付けていました。
お話を伺うと享保まで遡れるお家だそうで、「鑑定団」に出てきそうな立派な屏風や、お花見のときの、蒔絵のお弁当箱など珍しいお品をたくさん拝見しました。
また家で取れたという野菜や、おいしいお料理をいただいて、楽しいひと時を過ごさせていただきました。
その後は季節の挨拶くらいですが、お付き合いを続けています。
2016-5-25 記・写真 牧戸 富美子
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