今回は6月9日にゴールした発心門王子から本宮大社までのコースを歩く。
昔の参詣者はこの辺りからはいろんな派生したルートを利用していたらしい。
今日の語り部は女性の現役修験者で、発心門王子の前で、法螺貝を吹いて、安全祈願を祈って下さる。「ホラは吹きません、本物の法螺貝です」と。
山の中の集落に入って、歩きやすい静かな車も通らない舗装道路が続く。
村人はユーモアがあるらしく、あちこちに面白い案山子や木彫人形を作っている。
斬新な石の模様が施された玄関のある小学校分校は廃校になっている。その隣に水呑王子がある。前垂れをあげると地蔵さんの胴体に割れ目があり、その間にお賽銭を指し込めば腰痛に効くと言う。早速ご利益をと五円玉を差し入れる。直ぐ傍に外科通りと呼ばれる田舎道に外科と歯科があったというから、もっと賑やかな村だったのだろう。
綺麗な茶畑や無人販売所を見ながら、伏拝王子に着く。中辺路参詣者がここから初めて熊野本宮大社を見る事になる為、伏して拝んだことからこの名が付いたらしい。
それより私にとって最高に嬉しかったのは王子への石段の登り口に"紀伊(黄)上搏m鵑(きいじょうろうほととぎす)"の咲いているのを見る事が出来た事だ。私も栽培種を植えたが、気難しく2年目は咲かなかった。上揩ニは身分の高い貴婦人の事、大奥では上級女性の意。
杉や檜に囲まれた緑のトンネルを歩き、三軒茶屋跡や関所跡を通り、祓戸王子に出る。いよいよここで最後の清めをし、本宮大社に参拝したらしい。私達も旅行社の計らいで宮司の特別説明と正式参拝が組まれていたが、信心薄い不届き者にとって馬耳東風、それより拝壇の両脇にある歴史的サッカーボール展示棚と黒いポストの上のやたがらすの3本足を確かめたかった。とにかく二ヶ月も続けて熊野本宮大社をお参りしたお蔭で、腰痛に悩む私が今日も7kの道を歩けるようになったのが大きいご利益と思う事にしよう。
2015年11月13日
上村 サト子
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