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熊野古道伊勢路編第12回 その1
遂に熊野速玉大社で大願成就の第一歩



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さあ伊勢から出発した旅も12回目の一泊旅行で熊野三山参拝のゴールへ辿り着く。
今回も高槻を出発したバスは枚方の客を乗せ、高速道路を乗り継ぎ、4時間で三重県熊野市に入る。
途中から語り部二人が乗り込んで、風伝(ふうでん)峠の登り口に着く。この峠は熊野から現在の田辺に抜ける生活の道であり、山の幸と海の幸を交換商いの品として重い荷物を背負い、喘ぎながら越えた峠である。257mの風伝峠は熊野灘の海風を山々に運び上げ、大台山系から冷たい風を紀州の浦々に吹き下ろすという風の通い道となって一年中、霧と風の止むことのない峠という所(風顛)からこの名がついたとも言われている。この峠に到る道にも角張った石で敷き詰められた石畳も江戸時代のもので、一人1日1石の労働だったらしい。参詣道は海岸沿いの道があるが、共に世界遺産とされている。国道311号の風伝トンネルが出来て、自動車であれば4-5分の所を私達は2時間余りかけて歩いた。
 いよいよ熊野三山の一つの速玉大社に参拝である。色鮮やかな朱塗りの社殿が新宮市の熊野川河口近くに鎮座している。長い厳しい伊勢路を参詣の願い一途に歩いてきた先人達はさぞかし有難い存在であっただろう。現在の新宮市民にとっても心の故郷であり、自慢の種と語り部から聞く。その夜は建物の大きさと温泉からの眺望で有名な"ホテル浦島"に渡し船で渡る。夕食にはさすが漁港の町、マグロや甘エビ、ハマグリの料理がたっぷりと並ぶ。マグロの解体ショ―もある。用意されたのは26.2キロと記されていて、その大きさに驚いたが、前日勝浦漁港で411キロのマグロがセリに出され、271万円(3000人分)だったらしい。六つある温泉は夫々特長あり、床に書かれた色分けラインに沿って行くようにとロビーで説明を受ける。そのうちの一つ忘帰洞は旅館の出来た頃、徳川藩主ゆかりの方が、帰心を忘れ、飽かずに洞窟から太平洋を眺めたいと云われたことから"忘帰洞温泉"と名がついたらしい。私達も温泉でゆっくり過ごしたいが、スケジュールに追われるツアーではそうもいかぬ。さあ明日も頑張ろう。

2015年4月21日    
上村 サト子    

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