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熊野古道伊勢路11回 その2
「熊野灘の激しさを巨岩が守る」



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 国道42号線を渡ると目の前はまさに熊野灘。その海に向って吠えるがごとく口を開けている獅子岩がある。5月中旬の朝には朝日を、12月頃の夕刻には満月を咥える獅子が写真に撮れるということで撮影場所の取り合いになるらしい。人面岩の真中に戸がはめ込まれている。或る時代、牢獄に使われていたらしい。展望台から見た七里御浜を歩いてみる。こんな丸い石で覆い尽された美しい海岸は初めてだ。海岸から花の窟(はなのいわや)神社の御神体の巨岩が私には梟の顔のように見える。日本最古の神社にお参りする。社殿がなく、この45mの巨岩がご神体である。2月と10月に花や扇子を付けた百数十mの2本の綱を岩の上から海岸まで氏子や参拝者や観光客が引っ張る神事がある。参拝者ははエルサレムの嘆きの壁のごとく、頭を岩に押し付けて祈れば良いらしい。御神体の前に、イザナミノミコトの墓がある。この神様は多くの神を産み、最後にこの地で火の神様を産み、自分の体が焼き尽くされて亡くなったとまたこれも伝説。
 今日歩いた石畳の道も七里御浜も巨岩群も神社も世界遺産、石一つ、この葉一つ持ち帰れない。聖域内にある"なぎの木"の葉を他所で用意して下さっていた。日本の暖かい土地で自生しているが、熊野地方では神木とされ、鏡の裏やお守り袋に入れて災難除けにするとか、私も1枚戴いて早速財布に入れ、遺失除けにした。

2015年3月21日    
上村 サト子    

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