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ばあちゃんロンドン記(その6)
"夢のホテルに泊る!"



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 世界にサヴォイホテルがあるが、"ザ・サヴォイ"と言えばこのロンドンのホテルを指す本家本元に5泊中、1泊することになった。そもそもこの旅行のきっかけは孫の学校のクジ引き付きの寄付に大当たりしたからである。12月30日迄の期限、二人二泊。それを長女が直接交渉して、1泊4人、二部屋の又とないチャンスを得た。スイスに来ていた次女も仲間に入った。ガイドを見れば、1889年創業、2010年改装でさらに豪華に蘇ったとある。諸外国の貴族、富豪、タレント、スポーツ選手、ビジネスエリートが宿泊すると云うから、前夜、下見でも、緊張した。子どもまでスーツを着たファミリーがホテルマンに恭しく送られてベンツやリムジン等に乗り込む。それに較べ、今日の私達は大きなリュックを背負い、マフラーをぐるぐる巻き、両手にセールでの買い物の紙袋を持ってチェックインした。
ホテルのロビーには重厚な装飾品がある。最高のお部屋を用意しましたと案内されたのはまさにロンドン市内の夜景が一望できる素晴らしい部屋である。早速お茶でも戴こうとしたがティポットもインスタントコーヒーや紅茶パックがない。そういえば先ほどホテルマンがスーツケースを届けてくれた際、ご要望はないかと尋ねたっけと思いだす。なんでもオーダーとチップと精算になる。翌朝のドアの前に置かれていた日経新聞もしかり、£3と付いていた。時差と買物疲れでふかぶかとしたベッドでぐっすり休んだ。
翌朝の伝統的な英国式朝食は素晴らしかった。飲み物・パン・卵料理・ソーセージ・シリアル・フルーツなど考え付くものは全てテーブルの上に並べられ、味もサービスも満点。私達も朝から最高のおしゃれをして、朝食をとった。部屋に戻ると、隣室の廊下に黒いスーツケースと箱が20くらい並んでいて、黒いスーツを着た男性がちらちらと柱の陰に見え隠れする。隣室の泊り客は余程の大物なのだろう。さらにこのホテルの素晴らしさは市内ホテルに珍しく、ジムとプールがある。勿論、余す所なく利用する私達のこと、プールとサウナでひと遊び。
この日は25年前次女が下宿していたご夫婦に逢いに出かけた。当時長女も私も逢ったことがあり、25年が過ぎたと信じられぬくらい和やかに午後を過ごした。これも旅行の醍醐味。その夜は最初2泊したホテルに戻った。今日お逢いした親しみやすいご夫婦といい、今日から再び2泊するホテルといい、庶民には庶民の納まる場所が一番である。

2015年1月28日    
上村 サト子    

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