京都城南宮で文化講座が開かれ聴講しました。講師は有名な染織史家 吉岡幸雄先生でした。
源氏物語に出てくる平安時代の衣装の色についてのお話でした。
源氏物語の「野分」の帖で『童女おろさせたまひて、虫の籠どもに露飼はせたまふなりけり。紫苑、撫子、濃き淡きあこめどもに、女郎花のかざみなどやうの、時にあいたるさまにて』(わらわべを庭にお下ろしになって、虫の籠に露を与えさせていられるのであった。色々の花の色の濃いのや薄いのがときにふさわしい衣装で)とあるのを、その「ときにあいたるさま」というのが平安時代の衣装の色の最も大切なところで、その他の場面でも、紫式部は衣装の色の組み合わせにその人の趣味や教養、人柄が現れると再三書いています。
桜の季節には赤、薄い赤、桃色、薄い桃色、白というように重ねる、秋には紅葉の盛りの色から紅葉して枯れてゆく茶色、黄色と重ねる。季節感を非常に重んじ、季節を先取りして身に着けるのをよしとし、時期はずれ、季節遅れは、軽蔑されたということです。
会場には染められた色とりどりの布や、その材料、蘇芳、紅花、などとそれによって染められた糸が展示されていました。
1時間の講演後、紅花染の和紙を使って梅の花の造り花の講習があり、赤と白の花を一つの枝に付けた造花の作り方を教えていただきました。
後日、京都、高島屋で開かれている、吉岡先生の「日本の色 吉岡幸雄の世界」〜カッシーナ・源氏物語との出合い〜を見学しました。講演で話されていた、赤、緑、藍色、茶色などのきれいな布が濃い色から薄い色の組み合わせで展示されていて、平安時代の衣装の美しさ、雅さを十分堪能することが出来ました。
2014年9月12日
牧戸 富美子
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