参加時間は午後8時間、動植物の昼の世界も夜の世界も垣間見られるというツアーに誘われた。ガイドがツアーの最初にビンゴゲームの紙を配る。縦・横にオーストラリアで良く目にする動植物の名がかかれていて、見つけたら○印をつけるようにと言うが、まさかと思っていたのに、1日が終了する時にはビンゴを達成した。ポッサム・ロックワラビー・アリ塚・バナナ・オージービーフである。リーチならカモノハシ・南十字星・ワライカワセミ・・・。道の両側にユーカリ並木が延々と続く。このユーカリの並木や林の下草が黒く焦げているのは枝が風で擦れて、ユーカリの葉は油脂分が多い為、自然発火した跡で、よくあること、人家に危険がなければ消火しないそうである。これはユーカリ自身の生き残り術で、周辺の木や草を焼き、日当り良くして、灰は栄養にとなり、木は皮だけ焼けて、硬い中身を残します。
野生のカモノハシを見る事ができたのは幸運そのものだった。夕暮れ寸前、藪に囲まれた静かな小川の土手を全員息をつめ、声は出さず、手でサインのみ、発光禁止のカメラを構える。待つ事30分余り、遂に対岸近くに姿を見せました。木屑が流れてきたかのよう、あっという間に水に潜ってしまう。自然の残るオーストラリアでさえ貴重な動物だ。
夕暮れになるとキャンプ場では、運転手さんがバーべキューの準備。まずワニとカンガルーの一口サイズの焼肉を提供してくれる。"エー"と驚いていた参加者全員が臭みも無く、柔らかく、あっさりした味を気に入り、皿の肉がすぐ空になる。スープ、オージービーフ、ソーセージなど次々と焼きあがり、さらに果物、サラダ、手作りのケーキと楽しい食事であった。皆が食べている間に野生のポッサムにも餌台の上に果物を用意されると森の中から出てきて食べる。
食後はライトなしでは歩けない林の中へガイドの後を注意深くつづく。空には雲の合間に大きな星が輝いている。三日月も大きい。南十字星とその近くのαー星とβ―星をしっかり憶えた。古代より人々はこの大空にきらめく星や月を眺め、どんなにロマンを秘めてきた事だろう。北半球に住む私は夜空に北斗七星と北極星が見つかれば大喜びするが、南十字星に現地の人はどうだろうか聞いてみたいものだ。私は南極星がないと云う事も知らなかったのは恥ずかしい。15世紀ころ大航海が始まって、その安全を導いたのは、マゼランが世界一周の航海で大小マゼラン星雲と四つの南十字星を結ぶ線から割り出す「天の南極」の位置をみつけたからという。世界の天文ファンが星座観測にオーストラリアにやってくるらしいが、360度見渡せる澄み切った夜空を見ると納得できる。まだまだ手つかずの自然が残るオーストラリアにさらに魅力を感じた。
2014年9月1日
上村 サト子
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