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“ 清楚な伊勢神宮に参拝 ”して

 式年遷宮で賑わう伊勢神宮へ参拝しました。いつもは静寂に包まれ厳かな雰囲気の境内も、人、人、人にあふれ、静寂さは望むべくもありません。 ある団体の企画に参加したので、行程は隙間なく組まれて、滞りなく進行しましたが、期待していた「伊勢神宮」のあの「なにごとのおわしますかはしらねども」と歌われたなんともいえない神々しさは失われていました。
参加する前から、何度も何度も服装に関する注意事項が送られてきて、男性はスーツ(濃色無地または濃色で派手さがないもの)ネクタイ(派手な色ではなく無地または縦縞のもの)女性は清楚なスーツまたは清楚なワンピース(濃色無地または濃色で派手さがないもの、靴もスーツに合わせて派手な色でないもの)またジーパン、サンダル、袖なしは駄目で過去に参拝を断られたこともあるということです。というのはこの企画では、正式参拝、御垣内参拝(ミカキウチサンパイ)といって、普通は入れない中まで入って参拝するからなのです。
 まず外宮から参拝します。正宮(しょうぐう)、風宮(かぜのみや)、土宮(つちのみや)、に参拝、多賀宮(たがのみや)は遥拝、遷宮館では外宮の御正宮の社殿の模型が実物そのままに作られており、すぐ近くで見ることが出来ます。その清楚なたたずまいに心が洗われるようでした。その他遷宮にともなって作り変えられる、太刀や什器、御装束、神宝などがその作り方も併せて展示されていました。
続いてバスで内宮へ移動します。今回の参拝ではイヤホーンガイドが用意されており、伊勢商工会議所のガイドさんが丁寧に案内してくれました。鳥居の前で一礼することや、御手洗(みたらし)の仕方、参拝の作法なども説明がありました。
 内宮に到着して、まず宇治橋を渡ります。内宮では右側通行です。この橋の橋板は厚さが21cmあるそうですが、20年の間に15cmになるそうです。年間、800万人の人がお参りするので6cmも磨り減るということです。勿論、この橋も20年に一度新しく架け替えられます。神宮の社殿や、橋などのご用材は他の神社の鳥居やその他の用材に再利用されると言うお話でした。
内宮の神楽殿でお神楽の奉納がありました。神職の方や巫女さんが何人も出られて、祝詞、供物の奉納、お神楽など約30分、正座しての参拝です。
 次にいよいよ御垣内参拝です。一般の方の参拝する拝殿から左側へ進み手荷物を預けます。杖も持って入れません。地面はこぶし大の玉砂利が敷き詰められて大変歩きにくく困りました。教えられたとおりの二礼二拍手一礼の参拝です。お社は二十年の経過を物語るように萱葺きの屋根はところどころ破れており、痛ましい感じがして、やはり二十年で立て替えるのもむべなるかなと思いました。
社殿の左側の新御敷地には新しい社殿がすでに建てられていました。10月に遷宮が行われます。
ガイドさんの説明によると、普通「伊勢神宮」と言いますが、これは正式の名称ではなく、正式には「神宮」でよいのです。
 また他の神社にあって神宮に無いものが四つあるというのです。「知っていますか」と問いかけられましたが、誰かが「お賽銭箱」といいましたが、「それはあります」と言う答。ないものは「鈴」「注連縄」「狛犬」「おみくじ」ということでした。それは何故かと言うと神宮は他の神社が出来る前からあったからということです。また鳥居に額もありません。とにかく、清楚と言うか、洗練されているというか、無駄な飾りが一切なくただそこに「おわします」と言う厳粛な感じが伝わってきます。
考えてみると、20年前なのでしょう、テレビの映像で夜、真っ暗な中を、神職の方々が白い幕に覆われたものを静々と運んでおられたのを見たことを思い出しました。遷宮館ではその情景を作られた人形で展示してありました。
 ガイドさんの詳しくてユーモアのある解説にときには笑ったり、感心したりして、あっという間に参拝は終わりました。といっても、3時間30分ほどでした。
参拝を終えて、すぐ近くにある、おはらい町、おかげ横丁を見物して帰って来ました。
      2013年5月18日
記 牧戸富美子   

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