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安芸の宮島に旅して

 山陽新幹線を広島で降り、在来線に乗り換え宮島口へ。朝、大阪を立って丁度お昼時、名物の「あなごめし」 をいただこうと、大阪から持ってきたパンフレットにも載っている駅前の有名店に入る。店は食堂と、待合室に 分かれていて、人であふれている。聞いて見ると待ち時間は30分以上という。仕方がない、食い気には勝てず 受付を済ませて待つことに。約40分待ってやっと名前を呼ばれた。
食堂に入り、あなごめしを注文する。大きな丼にあなごがぎっしり並んでいる。甘酢の生姜が添えられ、お味噌汁がついている。早速いただく。やはり想像どおりおいしい。あなごに目のない私には至福のひと時だった。大きな丼で御飯も大盛り、小食の私にはとても食べ切れない。お腹も一杯になったところで腰を上げ、フエリー乗り場へ向かう。
 フエリーは10分おきくらいに出ており、船中からあの大鳥居と厳島神社の海中に浮かぶ社殿が眺められる。
約10分で宮島桟橋に到着。厳島神社に向かって元気に歩き出す。海岸沿いに一本道だ。沿道はあなごめしをは じめ、焼き牡蠣やおなじみの紅葉饅頭の店が軒を連ねている。
そこここに鹿もたくさんいる。
海岸に一際大きな灯篭が立っていた。
壇ノ浦で安徳天皇を抱いて入水した清盛の妻、二位の尼の遺体が流れ着いたという尼を偲んで建てられたそうだ。大きな石の鳥居をくぐると、目の前に海中に立つ朱塗りの大鳥居が見える。神社の中に入る。この神社の創建は古く、推古天皇の時代ということである。それから500年以上経って、平清盛が現在の規模に造営した。主祭神は市杵島姫命、田心姫命、湍津姫命の三女神である。宮島は昔から神の島として崇められていたので御社殿を海水のさしひきする所に建てたといわれているそうである。古くから日本三景の一つとして親しまれ、観光名所となっているが、平成8年ユネスコの世界文化遺産にも登録された。朱塗りの社殿がほんとに海に浮いているようで鮮やかである。折りしも結婚式が行われており、白無垢姿の花嫁さんが社殿の赤に映え実に日本的な素晴らしい光景に会うことが出来、幸せだった。社殿の中から見る大鳥居も絵になる風景だった。
神社を出て、宝物殿に入る。一番の目玉は国宝の「平家納経」だ。京都の博物館に来た時も見たが、やはり本場 で見るのは感慨深いものがあった。前にも思ったが意外と小さな巻物である。金銀粉をたくさん使い平安時代の 人物や仏画などが描かれており、鮮やかな経文の一字一字に心がこもっているようだった。ほかにも当時の鎧や 刀剣、衣装などが展示されていた。
 日本三弁財天の一つといわれる秘仏、厳島弁才天を祀る大願寺に参り、ついで平清盛館に入る。大河ドラマ「平清盛」の名場面、衣装、出演者の写真などが展示されていた。
 次に宮島歴史民俗資料館へ入る。石畳のある土蔵をそのまま保存した展示館には当時の甕、壷、釜,臼などがおかれ、広島名物のしゃもじ、お祭に使われた船など盛りだくさんの展示があった。
 午後3時頃になり少々疲れたので、今日の観光はこれくらいにしてホテルに入ることとする。帰り道、あの大鳥居を見ると、、すっかり潮が引いて鳥居の近くまで人が歩いている。そういえば干潮は午後3時ごろと書いてあったのを思い出した。

翌朝、再び宮島めぐりに出かける。今度はロープウエイにのって弥山(みせん)の頂上をめざす。ロープウエイは 二つを乗り継ぐことになっている。最初は紅葉谷駅から循環式と言って、少人数乗りで框谷(かやたに)駅まで、そ こから乗換えて、今度は交走式と言って、2台の客車が山頂と山麓を交互に往復する方式で30人乗りで獅子岩ま で。
そこから徒歩で山頂を目指す。途中にお寺の伽藍がいろいろあり、中でも霊火堂には弘法大師が修行に使った 火が、1200年経った今も燃え続けているという。この火で沸かした霊水は万病に効くといわれているそうだ。
 また広島平和記念公園の「平和の灯火」の元火にもなっているとか。
 案内図で見ると、はじめ下りでそれから上りになる。覚悟を決めて歩き出す。ところが私の足で行けども、行 けども下りである、しかもだんだん険しくなる。20分も歩いて、これはいけないと思い出した。丁度向こう から女の人が歩いてこられたので「すみません。まだ大分ありますか」と聞くと「まだまだ」という返事。私は その顔に(とても無理ですよ)と書いてあるような気がした。この調子ではまだ先に上りがあるというのにとても 駄目だと思った。いつも無理をしないのが私の信条。諦めることにした。非常に残念だけど仕方がない。獅子岩 駅まで引き返す。駅の近くに展望台がある。そこへ上ってみることにした。高さにして5.6メートルくらいあ るだろうかやはり岩ばかりの道になっている。その頂上に上がると素晴らしい眺望が開けている。瀬戸内海の美 しい島々、標識によると、似ノ島(小富士とよばれている),津久根島など、そして瀬戸内海を挟んで対岸には広 島市、廿日市市、が一望に見渡せる。その景色に満足し下りることにする。その折際、つるつるの山肌に足を滑 らせ、あっという間もなく1メートルほど転げ落ちた。そのときはなんともなく帰途に着いた。帰りのロープウ エイも絶景の空中散歩を堪能した。ただ一つの心残りは弥山の「消えずの火」だったが、あの山道で転ばなかっ たのがせめてもの救いと、自分を慰めて山を下りた。
 帰りの新幹線でも駅で「あなごめし弁当」を買い賞味した。これもおいしくて満足した。あわてて駆け足した ような旅だったが、今年の初めから行きたいと思っていたところなので、たいへん楽しかった。
 ちなみに山で転んだお土産は、家に帰ってから痛み出し、左手首の捻挫で全治1週間(自己診断)だった。
記 牧戸 富美子  
※記
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