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高槻からのご来光

 去年の2月、眼の手術で8日間入院しました。初めての手術でしたがそんなに痛くも辛くもないと、経験した人から聞いていたのですがやはり不安でした。
老人性の白内障で入院して2日目に右側、3日おいて左側の眼を手術することになっていました。
聞いていた通り何ということもなく両眼とも無事終わりました。明日は退院という日の朝、6時前に眼が覚めました。病室は9階で入り口近くに見舞い客との面会所があり、椅子やテーブルが置いてあります。病室では6時起床、朝食まで目薬を差したり、体温を計ったりするほかは何もすることがないので、面会所からまだ明けやらぬ外の景色を眺めていました。
 すると遥か東方の生駒連峰の真ん中あたりが明るくなったと思うと山頂の少し上にあった雲が金色に輝きだしました。思わず窓辺にかけよって眺めました。
 山頂には雲がなく間もなく金色の太陽が顔を出し、少しずつ、少しずつどんどん昇ってきます。
そして周囲を金色、紫色、朱色に染めてのご来光です。
私はずっと昔、富士山のご来光を8合目付近で拝んだことがあります。
感激のあまり号泣してしまいましたが、あの時の感激に次ぐ出来事でした。
こんな町中にいて、こんな素晴らしいご来光が拝めるなんて、なんという幸運でしょうか、ほかの人に知らせる余裕もなくあっという間のことでした。
一生に2番目の感激をもらったことに、病気にも感謝したい気持ちでした。
 その日同室の患者さんにその話をして是非見られるよう奨めましたが、果たして何時もあんなご来光が拝めるのでしょうか、ちょっと心配でした。

文責 牧戸 富美子   

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