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『おくりびと』
"Departures"を観賞して
この映画は、第32回日本アカデミー賞、第81回アカデミー賞 外国語映画賞、第32回モントリオール世界映画祭 グランプリと次々と受賞しました。
事前に座席を確保していかないと入場出来ないくらい人気があります。入場したら確かに満席でした。
"納棺師"という言葉は、この映画が放映されるまで知りませんでした。
私の両親の時には、自分たち親族で行いましたし、これも姉2人が看護婦だったので出来たのかもしれません。
義兄の時には、葬儀屋さんが丁寧に湯かんもして頂きましたが、納棺師と言う言葉を使われなかったと思っています。
その時、手際よく丁寧に行われ、本人も気持ちよさそうだったし、私達親族も満足したものです。
今回の映画を見る前に、いつもの様に概要を知って行きましたが、内容的に暗く悲しい映画ではと思っていましたが、終わって出るときは気持ちよさをも感じました。
納棺の作業を見ているうちに、不思議とそういう気持ちになっていったのです。
見守る遺族に肌が見えないように布などで覆いながら、流れるような手際の良さで作業が進められていく、その手さばきに見とれていました。
遺体はもちろんぐったりと横たわっているだけですから、扱いにくいだろうに、
一人で、肌を決してこちら側には見せないようにしながら、着物を着替えさせる。
滑らかな熟練した動き。
それでいて決して事務的・機械的になることはなく、ひとつひとつの動作を確かめるように、
ていねいに、祈りすらこもっているような、厳粛な手つきで進めていく。
最後に、頭や顔の手入れを愛情を込めて行われる。
また、チェロという弦楽器は不思議な楽器ですね。
主人公の小林大悟のチェロの演奏で、NKエージェント社長の佐々木 生栄がソファの上で寝込んでしまいますが、安らぎを与えれくれる楽器なのですね。
多彩な演技派俳優が勢ぞろいしだとはいえ、言葉は少ないですが「安らかな旅立ち」を考えさせられる映画でした。
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