会員便り
目次 へ|戻る(その1/2)

”第21回 大阪薬科大学市民講座” 報告
健康とくすり
漢方薬の原料となる植物
〜漢方薬との上手なつきあい方を含め〜
(その 2/2)


世界各地で発見された漢方薬

2.漢方と漢方薬と民間薬
 芍薬甘草湯という漢方処方には芍薬と甘草という漢方薬が組み合わされています。この組み合わせ方と処方の使い方に漢方独自の考え方があります。すなわち、病気と患者さんの状態を「陰陽論」で診断し適切な漢方処方を選ぶ点で、民間療法と異なっています。
 なお、いわゆる健康茶などにはゲンノショウコやドクダミなどの民間薬が組み合わされていますが、これは食品であり漢方処方(医薬品)ではありません。

ダツラの有効成分 華岡清洲が麻酔薬に使用

3.現代医療における漢方薬(漢方製剤)
 漢方処方は主として煎じ薬として用いられてきましたが、現代では錠剤や顆粒剤に加工(製剤化)され保険診療でも用いられています。医療用の補中益気湯(ホチュウエッキトウ)や十全大補湯(チュウゼンタイホトウ)は制がん剤療法や外科手術後の虚弱状態を調整し、大建中湯(ダイケンチュウトウ)外科手術後の腹痛改善に活用されています。これらは薬用人参(朝鮮人参)を含む処方です。

芍薬と甘草

 芍薬甘草湯は、ある種の制がん剤投与による疼痛の緩和や、透析中や糖尿病で頻発する「こむらがえり」の改善に用いられています。
芍薬甘草湯に含まれる芍薬は、婦人更年期障害の生理痛に用いる当帰芍薬散(トウキシャクヤクサン)加味逍遙散(カミショウヨウサン)などの主薬です。個々の人の状態を漢方医学的に診断して処方を使い分けるのが漢方医療の基本です。これを理解して漢方薬とつきあってください。

芍薬と牡丹皮

4.生活習慣病の予防の大切さ
 古代人に必要だった「飢餓抵抗性」遺伝子は現代の文明生活には適しません。 すなわち、古代人と異なる飽食生活を続けると、カロリーを溜め込んで「必ず」肥満し、血栓症や梗塞症の危険が高まります。
 現代人の生活習慣病(特に「メタポリック・シンドローム」という代謝異常)の予防には、飽食や喫煙などの生活「悪」習慣の見直しが基本である。

飢餓抵抗性が生活習慣病の原因

目次 へ|戻る(その1/2)