会員便り
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"世界を巡る‥イスラームの世界”

関西大学公開講座を受講して(その6/6)
第5回【シーア派イスラームとイラン】


 講師 大阪外国語大学 嶋本 隆光 名誉教授   

従来、イラクとイランのシーア派は少数派でスンナ派は多数派と言われてきたが、実はシーア派が多い(60%)ことがわかった。
    イラクのメソポタミア地域(アタバートという)にあるクーファ、カルバラー、サーマッラーなどは伝統的にシーア派の聖地として知られる。
632年、預言者ムハンマドの死により、シーア派は4人の後継者のなかからアリー・B・ターレブを信の後継者となし、イマームと言われる霊的指導者の役割を強調する。
   以後、12代(12人)イマーム(874年に「お隠れ」になる)まで続き、12イマーム派シー主義は完成する。
スンナ派とシーア派の共通点と相違点は、イスラームの〔六信五行〕は同じであるが、後継者の任命の方法に関して、スンナ派はイスラームにはイマームの世襲的特権はないとしている。
3代目イマーム・ホセインとカルバラーの殉教は、シーア派の情念的側面を代表する。
   タァズィーエ(受難劇)として、今も路上の行進や舞台芸術としても有名である。
イマームを伝承する宗教学者(ウラマー)には、ムシュタヒト(よくできた宗教学者)と呼ばれるホメイニーやシースターニーがおり、イランはウラマー中心の政治である。
   伝統的に、スンナ派のウラマーは政府の役人であり、シーア派は政府とウラマー・信者 に距離がある。
  
参考文献
 G.vonグルーネバウム「イスラームの祭り」法政大学出版会 2002年
 JTBカルチャーサロン「19−20世紀中東の歴史とイスラーム」に関する講義
最後に、5回の講義を通してイスラームの全体像がおぼろげながら分かったような気がします。
   悪い面も多く感じましたが、できるだけ客観的にイスラームを理解することが大事だと思います。

T.Y 記         

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