会員便り
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"世界を巡る‥イスラームの世界”

関西大学公開講座を受講して(その2/6)
第1回【イスラーム〜宗教と社会】


 

講師  関西大学文学部 小田淑子教授      

 イスラームは、アッラーを唯一神とする厳格な一神教であり、ユダヤ教、キリスト教を同じ伝統に属すると認めている。
 キリスト教との相違は、聖職者の制度、国家から独立した教会がない、むしろユダヤ教に近いが、ユダヤ教が民族宗教であるのに対して、イスラームは世界宗教として、信者は中東各地からアフリカ、インド、インドネシアに拡がり、12億人とも云われ世界人口60億人の5分の1を占める。
 日本では、神道と仏教は存続してはいるものの、個人の信仰意識は弱い。
 初詣や死者儀礼を宗教と意識しないが、もし外国人に日本の宗教を問われたら「日本的宗教の信仰はある」と答えるのが妥当ではないか。
 イスラームの宗教は生活様式と一体化しており、精神と生活は切り離せない。
 従って、プロテスタントや大乗仏教(日本)の国々に較べ近代化は遅れている。
 イスラームの国へ行くと誰もが「インシャーラ(神がお望みならば)」の受け答えの言葉を聞く、人生は思い通りにならないことを上手に教えてきたのが宗教なのか。
 イスラームと聞くと直ぐ血生臭くて怖いことを連想しますが、この講義で彼らが何故そのような行動をとるのか、善し悪しは別として、イスラームのことをもっと理解することが大事だということがわかりました。
 講師の小田教授は、声が大きくメリハリのある解り易い話し振りで、失礼だが何処にでも見られる元気のよい小母さんという感じの親しみ易い方とお見受けしました。
 後の質疑応答でも活発なやりとりがあり、イスラームは男尊女卑ではないかとの質問に対しては、否定の説明に取り上げた例が面白かった。
 小田淑子(オダ・ヨシコ)
関西大学文学部教授
1971年大阪外国語大学ペルシア語学科卒業
1977年京都大学大学院博士課程単位取得退学
1978―1984年シカゴ大学大学院留学

T.Y 記         

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