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故 武智 馨先生を「語る会」

                   

祝 大阪工業大学機械工学科鋳物研究室創設50周年
恩師 故武智 馨先生を「語る会」のご挨拶


                  故武智馨先生を「語る会」実行委員長
                   平成15年度 「かおる会」会長
                    機械工学科 第6期卒業生
                       成 本 忠 晴


                            平成15年5月24日
 大阪工業大学機械工学科鋳物研究室の卒研生の皆様ならびにご来賓の皆様、本日はお忙しいなか 本「語る会」にご出席下さいまして有り難うございました。
 関係各位におかれましては、日々それぞれの分野でご活躍のこととお慶びもうしあげます。
 本年(平成15年、西暦2003年)は、故 武智 馨先生が創設の「鋳造研究室」創設50周年にあたり、関係の皆様と共に元気でむかえることになりました。
 先生は大阪工業大学、機械工学科に鋳造工学(工作法U)講座を開設され、「鋳物研究室」を設立研究設備を整備され、研究室補助員及び卒研生(卒業研究制度、昭和30年4月制定 卒業論文=必修 のための卒研生)を採用され、第1期生から第25期生までの長きにわたり指導、育成していただきました。卒業に際しては、各実業界に紹介いただき、活躍状況のフォローをしていただくなど、学校在学中および卒業後もいろいろ面倒をみていただきました。
 巷間では「親の心、子知らず」とか「いつまでも、あると思うな親と金」とかもうしまして、先生にはお世話になるばかりの「不肖の生徒達」で、申し訳ありません。此処に改めまして先生へのお礼の言葉を申し上げいたと思います。
 「武智 馨先生、本当に有り難うございました。」
 昭和34年6月に「かおる会」を設立したのが、先生の還暦の年でした。それ以来毎年1回「かおる会」総会を実施してまいりました。
 年月の経つのは早いもので、「鋳物研究室」創設後満50年を経過し、恩師はご逝去され、卒業時に訣別した級友は、古希を迎えた人、頭髪白き初老に入った人、現役でなお矍鑠と活躍している人、心ならずもご逝去された人、等々年々研究生だった人々も名簿から消えていく寂しさは、禁じ得ません。 先生が「かおる会々報 第3号」で書いておられます「停年の辞」を改めて読ませていただきました。1899年に四国 松山市で誕生され、1923年に京都帝国大学機械科を卒業し広海軍工廠に入られ、1945年敗戦による追放令を受けるまでの”第一の人生”。1952年大阪工業大学に就任され1969年古希の年にご停年を迎えられ、さらに客員教授として残られ、1977年大阪工業大学名誉教授になられるとともに、1980年81才の年に大阪工業大学28年の勤務を終えられるまで、生徒の指導にあたられました。これまでを”第二の人生”と先生は称しておられますね。さらに
”第三の人生”として、生涯「鋳物技術を後進に伝える」という強いお気持ちで過ごされました。
 先生の「鋳物」に対する姿勢は広海軍工廠時代「薄肉鋳鋼鋳物の製造努力」、「戦艦大和など軍艦用プロペラの鋳造」、「鋳物砂の調査研究と鋳造学という学問にまで高められた功績」、「軽合金鋳物の究明」大量生産時代の鋳物の鋳型用鋳物砂の研究、等々数え上げると枚挙にいとまないほど多数です。
 しかし、先生の技術者育成指導理念は、「机上の空論によらず現実に活動し、現場で活躍する実力的技術者の育成」でありました。そして自らも実践したといっておられるとうり、「印判押し」や高等業務に携わるのではなく、鋳物工場に潜入して埃を浴びながら砂を握り、鋳物を撫でて過ごして来られました。また「かおる会」を単なる同窓会的な集まりにしないで、協力共栄という一本の大きな柱を打ち出す実のある会を常に提唱されました。
   また、先生が残された多くの語録がありますが、「かおる会々報 第2号」に述べておられます。
「恕」(じょ)の教訓話は、人生第一の処世訓として、今も忘れておりません。
「恕」とは、判りやすく具体的に言えば、「自分の欲しないことを人に押しつけない」という事であり、恕が最高に発達すると「仁」になる。「仁」には、「人の欲することをその人にしてあげる」ということである。要するに「思いやりの心」であると先生は述べられています。
 「鋳物研究室」の卒研生は、先生の在学ご講義中の第25期卒業生で終了し、その後の卒研生はいません。現在、大阪工業大学、機械工学部には鋳物研究室はありません。
 本年が創設50周年にあたるこの機会に、「故 武智 馨先生を語る会」を開催し、恩師を偲ぶとともに、卒研生および、かおる会会員相互の親睦をはかり、一同に集い交談されてはと願って企画しました。どうか皆さん日頃の生活をはなれてご歓談のひとときをお過ごし下さい.
 なお、「かおる会」は先生古希の時に「かおる会々報」を先生自ら創刊され現在第60号余を発行するに至っております。また毎年「かおる会総会」を開催し先生を偲ぶとともに、ゴルフ、行楽など和気藹々と親交をふかめております。
 また、重ねて申し上げますが本日ご出席のご来賓の皆様には大変お忙しいなか、遠路ご出席賜りまして本当に有り難う御座いました。どうかごゆっくりご歓談していただき、本かおる会をご支援下さいますようお願いします。
 なお本「語る会」の開催にあたっては、「かおる会」の役員の方々のお世話により開催の運びとなりました。関係者の皆様に高いところからですが、厚くお礼申し上げます。


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