前の便り目次次の便りへ
かおる会 会員便り


 "医療雑記” 

6期  谷口 啓治   


 かかりつけの県立がんセンターの主治医の忙しい合間を縫って 26年1月31日に診察を受けた。
難聴が非常に進んでいるので、先生の話を聞き洩らしては大変と、長女と女房とに同席してもらった。
事前に受けた血液検査の結果では、PSAが1.710と異常に高くなっていた。主治医は特別のコメントをしなかったが、昨年12月11日からの1カ月半に悪化したレートは、1カ月換算で0.547と言う高水準である。
簡単な問診の後、いよいよ内分泌療法(別名;ホルモン療法)に着手した。
添付した薬のラベル(図―1)の通り、ゾラデックスLA10.8mgデポと言う注射を腹部の皮下に打つのである。
ラベルの"外観"に示す注射器(上)とその中に仕込まれている薬(下)とを用いる。
注射器と言っても、まるでAl.の押し出し材を作る油圧押し出し機のビレット挿入コンテナそのものであり、薬は下段に示す線香状の固形物(1.5mmφ×16mmLの、まさにビレット)なので、想像していた普通の「注射」とは全く異なるものであった。
「痛くないヵ?」と聞いたところ、「大丈夫です!」(操作する看護師)・・・
臍の左横に機械を当てた途端、ブスッ!という一発の音とともに終わり、針の穴に絆創膏を貼り、5分間待機。「タイムアウト」後に、看護師・「谷口さんは血液サラサラの薬を常用されているから、絆創膏を剥がして出血するようなら指で押さえて・・」、小生・「血も涙も無い男と言われていたから、大丈夫サ」と下手な掛け合いをして終わった。
気になる後遺症or合併症は、貰った資料によると、「特に注意すべき副作用」5項目と「注意すべき・・・」が14項目羅列されている。別の教本によると「骨密度低下・骨そしょう症を伴うので、転倒、骨折に要注意」とあり、こっちの方が気になった。
一回の注射での効果が三カ月続くそうであるが、今後2月末に血液検査をして、PSAが下がっているかどうかに依って次の方策が立てられるようである。 いずれにしろ、この内分泌法での完治は期待できなく、注射を続けても2〜3年で効果が無くなる由である。
 前立腺のがんが骨以外に転移することは稀れであると聞いているが、昨年暮れに亡くなった知人は、肝臓に転移していて致命傷になった、とも聞いた。
これ等、他臓器にがんが転移するのを"臨床的再発or再燃"と言うようであるが、この段階から抗がん剤などの本格的治療に入るらしい(オオ、ノー!)。
図―1
 説明;棒状の注射器の中ほどを人さし指と中指とで挟み、右端のT字型の頭を親指の腹で押すと、左端から薬が押し出される。
1月31日の注射の後に、副作用らしきものとして「から咳」が出始まっている。「骨が痛い」、「背中が痛い」ことの所為か、掘りごたつから出るときにテーブルに手をついて立ち上がるようになった。5日経過しているが、他にはこれと言った現象が見られない。
また、"注意すべき副作用"に挙げられている肝機能関連の血液指標「GOT,GPT及びγ―GTPの上昇」と言う項目が気になる。 それと言うのも、昨年夏ごろから焼酎を飲むようになっていて、気になるので 過去の血液検査の結果をフォローしたところ、11月には前記指標が著しく悪化している事が分かった(以下、表1参照)。
表1 肝機能関連の血液指標  
GOTGPTγ-GTP 
基準値10〜405〜4510〜70備考
11/21 測7568189飲み放題の頃
12/24 測3432128断酒23日後
1/31 測262132節酒51日間
これではイカンと、ホームDr.に相談して"節酒"に努めている。
その結果、"義理酒"を飲んだ正月の期間を除き(時々は飲むが)、12月10日から1月30日の間の飲酒日数率は0.11(つまり、9日間につき1日しか飲まず、しかも焼酎を日本酒に変更した)であった。・・・追記;イ(末尾)
驚異的改善を果たしたので、がんセンターの主治医も、ホームDr.もびっくりしていた。
それだけに、内分泌療法でこれ等に悪影響が出ると、飲酒の余地が無くなるから"心配"なのである。
冗談ではなしに、酒屋のオネーチャンに顔を忘れられない程度(注@)の節酒は心がけたい、と肝に銘じている。
注@ 13年前、胆嚢摘出を受けた際、若き医師の挑発に乗って、丸三年間 完全断酒した。このときに、団地内のヨロズヤと団地下の酒のディスカウントストアーとが店を畳むという社会問題に、筆者の禁酒が加担した。

 余談1;この稿をおこしている最中に、当地でも積雪を見た。2月4日の朝には米ぬか程度のものがチラついていたが、午後2時頃には本格的な雪に、8cm.ほど積もってしまった。
標題には無関係ながら、我が家の庭先の状況をパチリしたので写真1として添付する。
ご記憶の方には、庭木越えに見慣れぬ家屋があるが、昨春迄の南側の大きな空き地に昨秋建てられたものである(正月直前、可愛いチビさん二人と、若いパパ・ママとが入居して来た)。
 雪については、この後に来た「2・14〜15雪害」がひどかった。
写真 2月4日午後、うさぎ小屋庭の積雪


  余談2;最近、筆者が使った咄嗟のダジャレ(集)
1、 血も涙もない男と言われて来たので、採血し難いでショ
(静脈を探して苦労している看護師さんに、慰めの言葉)
2、 クロスバーが読み取れなければ、「ただにしてェー」
(プライスカードが読み取れないレジのパートさんに)
3、 昨日は南極、今日は北極やなァー
(天候急変、暑い時寒いときに)
4、 「ない!イエローカードだけヤ」
(レジでポイントカードの有無を聞かれて)

 大層乱雑であるが、闘病の一コマである。
                     26年2月6日記す

 追記;イ  その後の飲酒日数率は、
      1月31日〜2月26日の27日間で
             飲酒日数が 7日  (日数率は0.26
                         つまり、4日に一回)
  最初から合算すれば   72日間で
              12日  (日数率は0.17
                     つまり、6日に一回)
 であり、この呑んべェにしては上出来。
     平均的にも"週休二日"どころではないので、次回2月28日の検査が楽しみなり。

(追記;イは、2月27日に記入した。
また、2月28日の検査では、PSAが0.208に大改造していた。 
                       以上、
 後記;本稿は、古巣・古河電工OB会のH.P.に上梓されたものを手直しした。前後の経緯は、"会員便り"の042「別荘より帰る」とその近辺の粗稿を参照願いたい。
     要するに、筆者の前立腺がん闘病記の近況である。
    手術後、PSA再発のため一昨年暮から36回に及ぶ放射線治療を受けたが効果なく、内分泌治療に取り掛かっている。
    そのことを記した。
                平成26年 3月22日


前の便り目次次の便りへ